調剤報酬改定(2020年/令和2年度)【薬局抜粋】

薬剤師の仕事

調剤報酬個別改定項目について(令和2年2月7日)

2020年度(令和2年度)調剤報酬改定における薬剤師関連箇所を抜粋しています。

2月7日にそれぞれの新点数が告示されました。

 

調剤報酬新設項目(2020年度・令和2年度)

(新) 服用薬剤調整支援料2 100点(3月に1回まで)

[算定要件]
複数の保険医療機関より6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、患者若しくはその家族等の求めに応じて、当該患者の服用中の薬剤について一元的把握を行った結果、重複投薬等が確認された場合であって、処方医に対して、当該重複投薬の状況が記載された文書を用いてその解消等に係る提案を行ったときは、3月に1回に限り所定点数を算定する。

現行の『服用薬剤調整支援料』に関しては、「2種類以上の減薬」が算定要件となっています。

対して今回の『服用薬剤調整支援料2』の算定要件は、「提案を行ったとき」となっているので、提案を行った結果が減薬に至らずとも、算定が出来る点数であると考えられます。

これまで減薬が1剤であったり、減薬の提案を行ったにも関わらず減薬に至らなかったケースがあれば、今回の2020年度改定以降は算定できるようになるでしょう。

そのためには今後も、「かかりつけ薬剤師(薬局)」「一元管理」というものが必須となってきます。

 

▼ ▼ 新規登録するだけで現金1万円がもらえる薬剤師転職エージェント! ▼ ▼

\ 新規登録キャンペーンは今だけ!! /

 

(新) 薬剤服用歴管理指導料 特定薬剤管理指導加算2 100点(月1回まで)

[対象患者]
保険医療機関(連携充実加算を届出ている場合に限る)において、抗悪性腫瘍剤が注射されている悪性腫瘍の患者であって、化学療法のレジメン(治療内容)等について、文書により交付されているもの。
[算定要件]
(1)保険医療機関で、抗悪性腫瘍剤を注射された患者について、当該患者の治療内容等を文書により確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合であって、当該患者の同意を得た上で、調剤後の抗悪性腫瘍剤の服用に関し、電話等により服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、当該保険医療機関に必要な情報を文書等により提供した場合には、特定薬剤管理指導加算2として、月1回に限り100点を所定点数に加算する。
(2)当該加算における薬学的管理及び指導を行おうとする保険薬剤師は、原則として、保険医療機関のホームページ等でレジメン(治療内容)を閲覧し、あらかじめ薬学的管理等に必要な情報を把握すること。
[施設基準]
特定薬剤管理指導加算2に規定する施設基準
(1)保険薬剤師としての勤務経験を5年以上有する薬剤師が勤務していること。
(2)患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮していること。
(3)麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第3条の規定による麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができる体制が整備されていること。
(4)保険医療機関が実施する抗悪性腫瘍剤の化学療法に係る研修会に当該保険薬局に勤務する薬剤師の少なくとも1名が年1回以上参加していること。

特定薬剤師管理指導加算いわゆるハイリスク加算のうち、抗がん剤のみが対象でランクアップしました。

ただ同じ『特定薬剤師管理指導加算』という名称ではありますが、注意すべきは対象患者が「保険医療機関において、抗悪性腫瘍剤が注射されている患者」とありますので、病院で投与された薬剤に対する加算ということです。

あと気になるのは、院外処方せんにて内服の抗がん剤を併用する患者の場合は、現行の『特定薬剤師管理指導加算』と『特定薬剤師管理指導加算2』を同時加算することは出来るのでしょうか。

抗がん剤の内服と注射を併用することは少なくないので、気になるところです。

 

また、施設基準に関しても、新設項目らしく細かく基準が設けられています。

中でも気になるのが、『パーテーション等で区切られた独立したカウンター』とあること。

 

 

(新) 薬剤服用歴管理指導料 吸入薬指導加算 30点

[算定要件]
喘息又は慢性閉塞性肺疾患の患者であって吸入薬の投薬が行われているものに対して、患者若しくはその家族等から求めがあった場合であって、処方医に了解を得たとき又は保険医療機関の求めがあった場合に、患者の同意を得た上で、文書及び練習用吸入器等を用いて、必要な薬学的管理及び指導を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書等により提供した場合に、吸入薬指導加算として、3月に1回に限り30点を所定点数に加算する。

こちらは全くの新設加算です。このような、新たに評価されるのは喜ばしいことです。

惜しむべきは対象患者が『喘息又は慢性閉塞性肺疾患の患者』であることです。

インフルエンザ治療薬の「イナビル」は対象外のようです。

そして、『処方医に了解を得たとき又は保険医療機関の求めがあった場合』という文言が残念です。

まあ、了解を得る必要が無かったら無いで、全喘息患者にベタ取りする薬局が出てくるでしょうから、仕方が無いかもしれませんね。

ただ、とはいえ、なぜ服薬指導に処方医の了解を得る必要があるのか、悲しくなります。

 

(新) 経管投薬支援料 100点

[算定要件]
胃瘻若しくは腸瘻による経管投薬又は経鼻経管投薬を行っている患者若しくはその家族等から求めがあった場合であって、処方医に了解を得たとき又は保険医療機関の求めがあった場合に、患者の同意を得た上で、簡易懸濁法による薬剤の服用に関して必要な支援を行った場合に初回に限り算定する。

来たるべき2025年問題に向けて、簡易懸濁法も評価されることになりました。

薬剤師は当然、薬の扱いのスペシャリストですから、手技にも精通していて当然です。

『必要な支援』という部分が漠然としているので、薬剤師によって差が生まれそうですね。

そしてここにもあります、『処方医に了解を得たとき又は保険医療機関の求めがあった場合』…。

 

(新) 薬剤服用歴管理指導料 調剤後薬剤管理指導加算 30点

[算定要件]
地域支援体制加算を届け出ている保険薬局において、インスリン製剤又はスルホニルウレア剤(以下「糖尿病治療薬」という。)を使用している糖尿病患者であって、新たに糖尿病治療薬が処方されたもの又は糖尿病治療薬に係る投薬内容の変更が行われたものに対して、患者若しくはその家族等から求めがあった場合であて、処方医に了解を得たとき又は保険医療機関の求めがあった場合に、患者の同意を得て、調剤後も当該薬剤の服用に関し、電話等によりその服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導(当該調剤と同日に行う場合を除く。)を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書等により提供した場合には、調剤後薬剤管理指導加算として、1月に1回に限り30点を所定点数に加算する。

糖尿病患者に対し、『調剤後薬剤管理指導加算』が新設です。

しかし、糖尿病患者でも条件があり、『インスリン製剤又はスルホニルウレア剤(以下「糖尿病治療薬」という。)を使用している糖尿病患者であって、新たに糖尿病治療薬が処方されたもの又は糖尿病治療薬に係る投薬内容の変更が行われたもの』とあります。

改定薬剤師法により、今後義務化される「調剤後の継続的な服薬指導、服薬状況等の把握」の先駆けでしょうか。

で、この電話するのは「かかりつけ薬剤師」でなくていいんですね。

「かかりつけ薬剤師」であれば整合性があって、患者にとってもわかりやすいと思うのですが。

そして『処方医に了解を(ry

 

 

調剤報酬算定要件変更箇所:薬局編(2020年度・令和2年度)

かかりつけ薬剤師指導料(73点→76点)及びかかりつけ薬剤師包括管理料(281点→291点)

[施設基準](新設)
患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮していること。

前述の、『特定薬剤師管理指導加算2』でもありました、パーテーションでプライバシーに配慮。

確かに診察室は個室でプライバシーに配慮されていても、薬局ではカウンターで投薬なので個人情報ダダ漏れです。

この個人情報保護社会で嫌がる患者も確かにいるでしょう。

ただパーテーションしているからいいでしょというわけでなく、対応する薬剤師も配慮が必要です。

 

[算定要件](追加)
(1) エ 残薬の状況については、患者ごとに作成した薬剤服用歴の記録に基づき、患者又はその家族等から確認し、残薬が確認された場合はその理由も把握すること。患者に残薬が一定程度認められると判断される場合には、患者の意向を確認した上で、患者の残薬の状況及びその理由を患者の手帳に簡潔に記載し、処方医に対して情報提供するよう努めること。(追加部分)また、残薬が相当程度認められると判断される場合には、処方医に対して連絡、投与日数等の確認を行うよう努めること。

昨今の調剤報酬改定で、かかりつけ薬剤師には減薬が求められています。

そのための手段として、『手帳に』と明記されています。『文書』ではなく、『手帳』と。

多くの薬局が、お薬手帳はレセコン発行の処方内容が印刷されたシールを貼付しているかと思います。

『患者の残薬の状況及びその理由』を患者が持参した手帳に、服薬指導後に記載できるのでしょうか。

ただ、『努めること』とあるので算定必須要件では無いと考えられます。

 

 

地域支援体制加算(施設基準追加・評価見直し)

地域支援体制加算の実績要件について、以下のとおり見直す。

調剤基本料1を算定している保険薬局
調剤基本料1を算定している保険薬局については、下記の5つの要件のうち4つ以上を満たすこと(ただし、①~③は必須とする。)
① 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第三条の規定による麻薬小売業者の免許を受けていること。
② 在宅患者に対する薬学的管理及び指導の回数 12回以上(在宅協力薬局(現「サポート薬局」)として連携した場合や同等の業務を行った場合を含む(同一グループ薬局に対して業務を実施した場合を除く))
③ かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出を行っていること。
患者の服薬情報等を文書で医療機関に提供した実績 12回以上(服薬情報等提供料に加え、服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、同等の業務を行った場合を含む)
薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に1回以上出席

現行の地域支援体制加算では、調剤基本料1を算定してれば地域支援体制加算の実績要件は、

・麻薬小売業者免許の所有

・在宅実績(回数の指定無し)

・かかりつけ薬剤師届け出

の3つでしたが、今回の改定では、

③在宅実績については年1回以上が年12回以上

④服薬状況の文書提供

⑤多職種連携会議への出席、

の実績要件が増え、算定が厳しくなります。(2021年3月末までは経過措置あり)

 

調剤基本料1以外を算定する薬局
地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績として、以下の①から⑨までの9つの要件のうち8つ以上を満たすこと。この場合において、①から⑧までは常勤薬剤師一人当たりの直近1年間の実績、⑨は薬局当たりの直近の1年間の実績とする。
① 夜間・休日等の対応実績 400回以上
麻薬管理指導加算の実績調剤料の麻薬加算算定回数 10回以上
③ 重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 40回以上
④ かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40回以上
⑤ 外来服薬支援料の実績 12回以上
⑥ 服用薬剤調整支援料の実績 1回以上
⑦ 単一建物診療患者が1人の場合の在宅薬剤管理の実績 12 回以上(在宅協力薬局(現「サポート薬局」)として連携した場合や同等の業務を行った場合を含む(同一グループ薬局に対して業務を実施した場合を除く))
⑧ 服薬情報等提供料の実績 60回以上(服薬情報等提供料に加え、服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、同等の業務を行った場合を含む)
薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に5回以上出席

『⑨薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に5回以上出席』が新設項目です。

ただし、『①から⑨までの9つの要件のうち8つ以上を満たすこと』とありますので、これまでの8要件でも引き続き算定は可能です。

 

調剤基本料の見直し

2.調剤基本料について、同一患者から異なる医療機関の処方箋を同時にまとめて複数枚受け付けた場合、2回目以上の受付分については所定点数の100分の80に相当する点数を算定する。

前回の445回総会の際に上がっていた新設項目です。

異なる医療機関の処方箋を同時にまとめて複数枚受け付けた場合に2枚目以降の調剤基本料が減算されます。

前回同様、気になるのは「処方箋の有効期限」です。

患者からすると安い方がいいので、まとめて持って行きたくなるでしょうが、処方箋の有効期限が4日と正しく理解されている患者がどれだけ居るか。

改定のたびにありますが、ワイドショーなどで正しい啓発がなされなかった場合、有効期限の切れた処方箋を持ってくる事例が多発するような気がします。

そして、集団的個別指導によると「有効期限の切れた処方箋は処方箋では無い」ので疑義照会対象外で、期限延長をしてはいけないようです。

処方先再発行のために再受診することになると、患者負担はかえって高くなってしまう…かもしれません。

 

薬局における後発医薬品の使用促進

1.後発医薬品調剤体制加算について、調剤数量割合の高い加算に重点を置いた評価とする。

【後発医薬品調剤体制加算】
イ 後発医薬品調剤体制加算1(75%以上) 15点
ロ 後発医薬品調剤体制加算2(80%以上) 22点
ハ 後発医薬品調剤体制加算3(85%以上) 28点

使用率のパーセンテージは、現行と同パーセントで据え置きでしたが、点数は変わりました。

『調剤数量割合の高い加算に重点を置いた評価』ということで、後発医薬品使用体制加算1の点数は18点から15点へ下がりましたが、後発医薬品使用体制加算3の点数は26点から28点へ上がりました。

 

2.後発医薬品の調剤数量割合が著しく低い薬局(現行基準では後発医薬品の調剤数量割合が 20%以下)に対する調剤基本料の減算規定について、当該割合の基準を拡大する。

(1) 当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が4割以下であること。ただし、当該保険薬局における処方箋受付状況を踏まえ、やむを得ないものは除く。

現行が20%以下でしたが、一気に40%へ引き上げとなりました。(2020年9月末まで経過措置あり)

 

※当記事は、『中央社会保険医療協議会 総会(第448回)議事次第』(厚生労働省)を加工して作成したものです。

 

令和2年度診療報酬改定率決定(令和元年12月18日)

診療報酬

全体 +0.55%

 

各科改定率

医科 +0.53%

歯科 +0.59%

調剤 +0.16%

 

薬価等

①薬価   ▲0.99%

②材料価格 ▲0.02%

 

第445回 中央社会保険医療協議会総会より(令和元年1月15日)

(出典:中央社会保険医療協議会総会(第445回)議事次第より抜粋・編集)

Ⅰ 医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進

Ⅰ‐2 医師等の長時間労働などの厳しい勤務環境を改善する取り組みの評価

(3)薬剤師の病棟業務の実施により意思の負担軽減を推進する観点から、病棟薬剤師業務実施換算について評価を見直すとともに、対象となる病棟を見直す。
(4)医療従事者の柔軟な働き方に対応する観点から、病棟薬剤師業務実施加算及び薬剤管理指導料について常勤薬剤師の配置における要件を見直す。

病院薬剤師の評価が上がりそうですね。

薬局薬剤師と比べて雇用条件上、病院薬剤師が下回る点のひとつは『給与』です。

これを機に病院薬剤師の給与があがれば、病院薬剤師の人気が上がるかもしれません!

転職活動をするなら、改定前の今がチャンス!

 

https://yakupapa.com/hospital-pharmacist-job/

 

Ⅱ 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現

Ⅱ‐1 かかりつけ機能の評価

(4)対物業務から対人業務への転換を進める観点から、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料について、患者のプライバシーに配慮することなどの要件を見直すとともに評価を見直す。

『患者のプライバシー』とは、どういうことでしょう?

むしろ『24時間電話対応』という、薬剤師側のプライバシーのほうに配慮いただきたいものですが…。

気になる表現ですね。

 

(5)患者が同じ薬局を繰り返し利用することを推進する観点から、以下の見直しを行う。

① 6月以内に同じ薬局を利用した場合の薬剤服用歴管理指導料について、再度の来局期間や対象となる薬局等の要件を見直す。
国としては、ひとりの患者には同じ薬局を使わせたいわけですから、再来局期間は短くなりそうです。
5ヶ月や4ヶ月では中途半端な気がしますので、一気に3ヶ月でしょうか!?
私がいま勤めている薬局は、90日分処方が結構多いんですよね…心配です。
② 調剤基本料について、異なる医療機関からの複数の処方箋をまとめて1つの薬局に提出した場合の評価を見直す。
残薬調整の観点からやはり、ひとつの薬局にまとめたいようです。
薬剤師としては当然、そちらのほうが服薬管理もしやすいのですが。
しかし、『まとめて提出』という表現が気になります。
この『まとめて』が、『同時に』という意味であれば、複数病院の受診日をわけている患者さんにとっては、処方箋有効期限があるので該当は厳しいかもしれません。
③ 薬剤服用歴管理指導料について、患者が普段利用する薬局の名称等を手帳に記載するよう患者に促す観点から要件を見直す。

これ、薬剤服用歴管理指導料の算定用件として必須になりそうですねー。

ということは、お薬手帳の持参も必須になるのでしょうか!?

気になるのは、『促す』という表現ですね。手帳の所持は必須ではないのか?

 

Ⅱ‐10 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた評価、薬局の対物業務から対人業務への構造的な転換を推進するための所要の評価の重点化と 適正化、院内薬剤師業務の評価

(1)地域に貢献する薬局を適切に評価する観点から、地域支援体制加算について、薬局の質を把握・評価する指標(いわゆる薬局KPI)等を参考に要件及び評価を見直す。

 

(2)対人業務の推進及び重点化の観点から、内服薬の調剤料の評価を見直すとともに、以下の取組を行う。

② 薬局が処方医からの指示に基づき、薬剤の重複投薬等を確認し、その結果を文書等で報告した場合について新たな評価を行う。
内容的に現行の『服用薬剤調整支援料』と似ているような気がします。
ただ、『服用薬剤調整支援料』は、【内服薬が2種類以上減薬】という算定用件があります。
それに比べて今回のこちらの記載ですと、【確認し、その結果を文書等で報告した場合】とありますので、要件として少し緩くなるのでしょうか。
また、『新たな評価』との記載があるので新設項目と予想されます。
③ がん患者に対するより質の高い医療を提供する観点から、薬局が患者のレジメン等を把握した上で必要な服薬指導を行い、次回の診療時までの患者の状況を確認し、その結果を医療機関に情報提供した場合について新たな評価を行う。
現在、抗がん剤は『特定薬剤管理指導加算(ハイリスク加算)』対象です。
この文章からもしかすると、抗がん剤のみ【ハイリスク薬】から独立するような気がします。
薬局機能3分類のうち、専門的な機能を有する『専門医療機関連携薬局』への下準備でしょうか。
こちらも『新たな評価』とありますので、新設項目と予想されます。
④ 医療機関と薬局との連携による残薬への対応を推進する観点から、薬局の薬剤服用歴管理指導料等について、お薬手帳による医療機関への情報提供等の要件を見直すとともに、分割調剤時における薬局から医療機関への情報提供に関する評価を見直す。
上述の、【Ⅱ‐10(2)② 重複投薬を確認して報告する項目】が新設される代わりに『服用薬剤調整支援料』の算定用件が見直されそうです。
また前回改定より分割調剤は優遇されていますので、分割調剤の点数は上がるような気がします。
個人的には、『リフィル処方』への下準備ではないかと予想します。
⑤ 喘息等の患者について、医師の求めなどに応じて、練習用吸入器等を用いて吸入指導を行い、その結果を医師に情報提供した場合について新たな評価を行う。
新規患者に対しては、全ての薬剤師が当然していることと思うので、吸入指導が新設項目となるのは嬉しいことです。
ただ気になるのが、「医師の求めに応じて」「医師に情報提供した場合」という表記です。
ここでも医師の了承がないと独自算定はできそうですね。
薬剤師はどれだけ信頼されていないのでしょうか…。
⑥ 経管薬剤投与が行われている患者が簡易懸濁法を開始するに当たり、医師の求めなどに応じて、薬局が必要な支援を行った場合について新たな評価を行う。
⑦ 地域において医療機関と薬局が連携してインスリン等の糖尿病治療薬の適正使用を推進する観点から、医師の求めなどに応じて、調剤後も副作用の有無の確認や服薬指導等を行い、その結果を医師に情報提供した場合について新たな評価を行う。
(3)対物業務から対人業務への構造的な転換を進めるため、薬局の内服薬の調剤料及び対人業務に係る薬学管理料の評価を見直す。

調剤料について、剤数や日数に比例した算定方式を「大幅に縮減」する方向性とのことです。

錠剤や散剤もPTPの既製品を取り扱っているのであれば、処方日数が何日であろうと棚から取るだけなので「調剤行為」だけで見ると作業は同じです。

「日数」による調剤料の差は、縮減の対象として目をつけられても反論できないかもですね…。

でも、「剤数」は勘弁してほしいなあ。

あと、もし調剤料が一元化されるのであれば、自家製剤加算や計量混合加算は細分化してほしいですし、一包化加算も以前のようにならないと割に合わないかなあ、と思います。

 

(4)特定の医療機関からの処方箋の受付割合が著しく高く、かつ、処方箋の受付回数が一定程度ある薬局について、医薬品の備蓄の効率性や医療経済実態調査結果における損益率の状況等を踏まえ、調剤基本料の要件を見直す。

医療モールやマンツーマンの薬局の調剤基本料が引き下げられそうです。

 

(5)医薬品の備蓄の効率性や損益率の状況等を踏まえ、特別調剤基本料について要件及び評価を見直す。また、地域でかかりつけ機能を発揮する薬局を普及・推進する観点から、いわゆる同一敷地内薬局の調剤基本料について、かかりつけ機能に係る基本的な業務を実施していない場合の要件を見直す。
(8)入院中の患者が退院する際に、入院前の処方薬の内容変更や中止等の理由、変更後の患者の状況等について、医療機関から薬局に対する情報提供を行った場合について新たな評価を行う。

これは、薬局薬剤師にとっては嬉しい新設項目です。

入院中に変更になった薬のことって、患者さんに聞かないと分からないですもんね。

そして患者さん自身もあまりわかっていないことが多い。

薬局につく点数ではないですが、業務がやりやすくなる新設項目と思われます。

 

Ⅲ 医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進

Ⅲ‐3 質の高い在宅医療・訪問看護の確保

(14)在宅患者への薬剤管理指導の推進の観点から、緊急時の訪問薬剤管理指導について、医師の求めにより、計画的な訪問薬剤管理指導の対象とはなっていない疾患等に対応するために緊急に患家に訪問し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合について新たな評価を行う。

これは現行の、『在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料』とは違うのでしょうか。

ただ、『在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料』には、「状態の急変等に伴い」という用件があります。

「急変以外でも緊急で訪問するケース」に算定できる新設項目でしょうか。

 

Ⅳ 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

Ⅳ‐1 後発医薬品やバイオ後続品の使用促進

(1)後発医薬品の更なる使用促進を図る観点から、以下の見直しを行う。

① 後発医薬品の調剤割合が高い薬局に重点を置いた評価とするため、後発医薬品調剤体制加算について評価を見直す。また、後発医薬品の調剤割合が著しく低い薬局に対する減算規定について要件を見直す。
予測はしていましたが当然、後発医薬品使用率の引き上げですよね。わかっていましたよ。
現在の後発医薬品使用体制加算が75%、80%、85%の3段階ですので、単純に80%、85%、90%へ引き上げではないかと予想されます。
また、前回診療報酬改定から新設された後発医薬品使用率が低い薬局に対するペナルティーの割合は引き上がりそうですね。
こちらも現行が20%以下ですので25%、あるいは30%あたりではないでしょうか。
② 医療機関での後発医薬品の使用割合の状況を踏まえ、後発医薬品の使用割合が高い医療機関に重点を置いた評価とするために、後発医薬品使用体制加算等について要件及び評価を見直す。また、一般名での処方を推進するために、一般名処方加算の評価を見直す。
(2)バイオ後続品の患者への適切な情報提供を推進する観点から、在宅自己注射指導管理料について、バイオ後続品を導入する場合の新たな評価を行う。

 

Ⅳ‐6 医師・院内薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用の推進

(2)入院時は処方の一元的な管理や処方変更後の患者の状態の確認が可能であることから、処方薬剤の総合調整の取組を推進するため、以下の取組を行う。

① 入院時に不適切な多剤処方の状態にある患者への対応について、患者の服用薬の総合的な評価等の取組に対する評価とさらに減薬に至った場合の評価の段階的な評価体系とする。

 

【医療】「リフィル処方箋」医師及び腰 「薬剤師が管理」抵抗 患者ニーズ置き去り
アメリカの薬剤師の年収ミニマムでも2,000万円でワロタwww
医療従事者なんだが、4回目の副反応辛すぎる
薬剤師「こちらジェネリックでよろしいですか?」 ワイ「アカン」
薬剤師は将来、AIに仕事を奪われるの?【薬剤師とAIの共存】

 

令和2年度診療報酬改定の基本方針(2019年12月10日)

(出典:厚生労働省「令和2年度診療報酬改定の基本方針」)

改定に当たっての基本認識

健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現

患者・国民に身近な医療の実現

どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進

社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和

 

平均寿命は延びているものの、2025年以降は生産年齢人口が急激に減少していきます。

医療費のかかる高齢者だけが増え、税金を納める現役世代がいないので、財政は悪化の一途です。

「国民皆保険の堅持」と聞こえはいいですが、要するに引退できる世代も働かせて、死ぬ間際まで税金を納めてもらいましょうということでしょう。

そのために年金も減らしているんじゃないかとさえ思えてきます。

 

前々回の改定より課題となっている、「地域医療」が今回の改定でも引き続きポイントとなります。

医療偏在対策のため、医師等の働き方改革の推進と、効率化と適正化と安定性が求められています。

タイトルとURLをコピーしました