
新型コロナの影響で、処方箋原本がなくても調剤できるって聞いたけど…。
薬を郵送での対応も、これまでしたことないから不安…。
新型コロナへの対応で、電話再診に関する患者からの相談が相次いでいます。
実際に私も対応していますが、急な対応・イレギュラーな対応に追われています。
今回は私が実際に経験した、新型コロナによる電話再診処方箋で困ったことや、役立ったことをまとめました。
これから対応される方の参考になれば幸いです。
【0410対応】処方箋原本がなくても調剤は可能?
新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、令和2年2月28日に基本方針が発出されました。
調剤薬局関連箇所を抜粋します。
まず、全体として。
・ 新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、慢性疾患等を有する定期受診患者等について、当該慢性疾患等に対する医薬品が必要な場合、感染源と接する機会を少なくするため、一般的に、長期投与によって、なるべく受診間隔を空けるように努めることが原則であるが、既に診断されている慢性疾患等に対して医薬品が必要になった場合には、電話や情報通信機器を用いて診察した医師は、これまでも当該患者に対して処方されていた慢性疾患治療薬を処方の上、処方箋情報を、ファクシミリ等により、患者が希望する薬局に送付し、薬局はその処方箋情報に基づき調剤する。
注)処方箋情報のファクシミリ等による送付は、医療機関から薬局に行うことを原則とするが、患者が希望する場合には、患者自身が処方箋情報を薬局にファクシミリ等により送付することも差し支えない。
- 慢性疾患患者は電話で医師の診察を受けることができ、処方箋も発行される。
- 処方箋は薬局にFAXされ、薬局はそのFAXをもとに調剤することができる。
- 薬局への処方箋FAXは病院からが望ましいが、患者が希望すれば患者からでもOK。
次に、薬局の対応です。
・ 患者からファクシミリ等による処方箋情報の送付を受け付けた薬局は、その真偽を確認するため、処方箋を発行した医師が所属する医療機関に、処方箋の内容を確認する(この行為は、薬剤師法第24条に基づく疑義照会とは別途に、必ず行うこととする)。
なお、患者を介さずに医療機関からファクシミリ等による処方箋情報の送付を直接受けた場合には、この確認行為は行わなくてもよい。
・ 医療機関から処方箋原本を入手するまでの間は、ファクシミリ等により送付された処方箋を薬剤師法(昭和 35 年法律第 146 号)第 23 条~第 27 条、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号)第 49 条における処方箋とみなして調剤等を行う。
・ 調剤した薬剤は、患者と相談の上、当該薬剤の品質の保持や、確実な授与等がなされる方法で患者へ渡し、服薬指導は電話や情報通信機器を用いて行うこととしても差し支えない。また、長期処方に伴う患者の服薬アドヒアランスの低下や薬剤の紛失等を回避するため、調剤後も、必要に応じ電話や情報通信機器を用いて服薬指導等を実施する。
・ 可能な時期に医療機関から処方箋原本を入手し、以前にファクシミリ等で送付された処方箋情報とともに保管すること。
- 真偽確認のため、患者からのFAXは病院に問い合わせる必要があるが、病院からのFAXの場合は問い合わせは不要。
- 処方箋原本を入手するまでは、FAXを原本として取り扱う。原本を入手するまで保管する。
- 患者への薬剤の譲渡は、患者と相談の上、品質保持・確実な方法で行う。
- 服薬指導は電話や通信機器でもOK。
また、事務連絡の「3」にあるように、患者に薬剤を渡し、電話や情報通信機器を用いて服薬指導を行った場合、薬剤服用歴管理指導料等の薬剤師からの説明が要件となっている点数は算定できるのか。【答】調剤技術料及び薬剤料は算定できる。
薬剤服用歴管理指導料等は、電話や情報通信機器を用いて適切な指導を行っており、その他の要件を満たしていれば算定できる。
- 調剤料と薬剤料は算定できる。
- 薬剤服用歴管理指導料とその他点数は、要件を満たしていれば算定できる。
- 指導は電話でもOK。
このように、新型コロナの感染拡大防止のため、
- 電話による医療機関受診
- FAXによる処方箋対応
いわゆる「0410対応」として臨時的ではありますが、可能となっています。
(出典:厚生労働省 )
【0410対応】電話再診処方箋への対応手順
実際の0410対応は、以下の流れで行いました。
- 医療機関より、対応可能かの確認。
- 医療機関より、処方箋情報をFAXにて医療機関にて受信。
- FAX情報に基づいて調剤を行う。
- 患者へ電話にて服薬指導を行い、薬の受け渡し方法など必要事項の確認。
- 薬の受け渡し対応。(今回は郵送にて対応)
- 処方箋FAXを保管。
このうち0410対応で大変だったのは、4の「必要事項の確認」でした。
0410対応で確認しなければいけないことは、「日数の猶予」や「受け渡し方法」、郵送の場合は「以前問診票記載の住所から変更がないか」などなど、たくさんあります。
特に0410対応の初期は、「何の確認が必要か」がまとまっていなかったため、対応に焦りました。
その後、0410対応について薬局内で話し合い、確認事項のリストがあったほうがいいという結論になり、薬局内で作成しました。
その「0410対応の確認項目」を次にまとめたので、参考にして頂ければと思います。
【0410対応】電話再診処方箋で確認しておくこと
0410対応で対応で患者より、電話再診処方箋に関する問い合わせがあった場合、以下の項目をもとに確認すると、聞き漏れがないと思います。
- 氏名、生年月日 :本人確認のため。
- 薬の受け渡し対応 :来店されるか郵送か、薬剤師が届けるか。郵送の場合は着払いでも良いか。
- 残薬日数 :郵送の場合、日数猶予の確認のため。
- 住所(薬の送付先):郵送の場合に必要。問診票が古い場合は転居の可能性あり。
- 支払い方法 :来店されるか振り込みか。振り込みの場合は手数料は患者持ちであること。
- 処方箋原本の扱い :薬が届いても絶対に捨てないこと。薬局へは郵送か手渡しかで依頼する。
【0410対応】患者一覧チェックリスト作成(4/21追記)
0410対応で電話受診後に郵送を希望される患者からの問い合わせが多発しています。
電話相談から薬品発送、処方箋原本回収まで、一連の流れを見落としなく把握することが必要です。
そこで0410対応において以下のような一覧表を作成し、調剤室内に掲示することにしています。
よければ参考にしてください!
(日付記入) (日付記入) (完了したらチェックを入れる)
電話受付 | 氏名 | 診察予定 | FAX | 発送 | 原本回収 | 備考欄 |
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【0410対応】電話再診処方箋で問題点・困った点
【0410対応で困ったケース①】電話番号を教えたくない
0410対応について処方元の医師から電話がありました。
電話再診処方箋で薬は郵送を希望されたにも関わらず、「薬局に電話番号を教えたくない」とのこと。
薬局での初回問診も拒否されており、自宅も携帯電話のどちらの電話番号もこちらからはわかりません。
「0410対応には、【電話による服薬指導】が必要であるため、電話ができなければ郵送対応はできない」
「郵送に伴い確認事項と、イレギュラー発生時のため、薬局側からの連絡が必要な事態があるかもしれない」
以上2点を医師から伝えてもらい、最終的に電話番号を教えてもらうことに納得されました。

こちらから電話できないのは危険だし、無理ですよ…。
【0410対応で困ったケース②】すぐに薬が欲しい
0410対応の電話再診処方箋ですが、明日から薬を飲みたいのですぐに送って欲しいと患者より依頼がありました。
処方元の0410対応の方針として、「処方箋原本は患者宅へ郵送」は患者によって対応は変えないとのこと。
同都府県内でもまず患者宅へ処方箋原本が届くまで1~2日、こちらで準備して薬を発送しても、やはり1~2日はかかるでしょう。
郵送対応を希望される以上、明日からの服用は難しいことを説明し、患者宅近くの薬局で対応してもらうことで了承を得ました。

手持ち残薬を1週間ほどの余裕がないと、郵送での対応はさすがに厳しいです。
【0410対応で困ったケース③】 自立支援医療の対象者で、上限管理票による金額の管理が必要
0410対応で電話再診処方箋による郵送を希望される方で、自立支援医療を受けられている方がおられました。
普段であれば病院受診されてから薬局に来店されるので、病院での自己負担額によって薬局での金額も変わってきます。
自己負担額が薬局だけで完結するのであれば、振込用紙での対応だけで良いのですが…。
社内で話し合い、0410対応で今後このようなケースでは薬は郵送するが、支払いは一旦保留にすることに決めました。
上限額をまずは振り込んでもらい、後に病院の金額分を返金という手段もありましたが、それだと「入金」「返金」という過程が2つになり、二度手間になると考えたためです。
もうひとつは、自立支援医療を受けるためには薬局の登録が必要なので、逃げられる可能性が低いと判断したためです。

今後来店された際にまとめて精算させていただくことにしました。
【0410対応】電話再診処方箋まとめ
0410対応について今回、私が対応したケースを元に電話再診処方箋に関して記事を書きました。
まだまだ感染拡大が収束する気配のない新型コロナウイルス感染症です。
この状況はしばらく続き、各薬局とも0410対応に追われることが増えるのではないかと思います。
ただ、患者も「外出するのがこわい」「コロナに感染したくない」という思いから薬局に頼っているので、医療従事者である我々が、感染拡大防止の一助を担っていくために必要な対応であると思います。
この記事が、これから電話再診処方箋を初めて対応をされる方の役に立てばうれしく思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。